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ドクターに学ぶ透析

「透析とは何?」「どんな治療をするの?」「普段注意が必要なことは?」。
透析患者さんやこれから透析を始める方は、さまざまな疑問や不安を感じることがあるでしょう。
そこでより良い透析生活を支えるために、治療や気を付けたい症状、食事、運動など、透析に関する知識をドクターに学びます。

知っておきたい合併症

熊川 健二郎 先生寿泉堂クリニック 院長

 透析患者さんは腎臓の機能が低下しているため、注意したい病気(合併症)があります。もしも発症したときには速やかに対応できるよう、日ごろから予兆を知っておくと安心です。合併症の早期発見のポイントや予防法などを、熊川健二郎先生に教えていただきました。

注意したい合併症 1.高カリウム血症

― 「高カリウム血症」はどのような病気ですか。

 透析患者さんによくみられる合併症のなかでも、最もリスクの高い病気です。カリウムは野菜や果物などに多いミネラルで、本来は余分なナトリウムを尿中に排泄し、血圧を正常に保つ作用があります。健康な人であれば、カリウムを摂りすぎても腎臓から尿中に排泄されるので、血液中のカリウムが多くなりすぎることはありません。ところが、腎臓の機能が低下している透析患者さんの場合、カリウムが排泄されずに血液中に残ってしまいます。そのまま血液中の濃度が上がると「高カリウム血症」となり、心臓などに深刻な影響を与え、不整脈から心停止に至ることもあります。

― どのような初期症状がありますか。

 患者さんの訴えとして最も多いのは、口角、口元のしびれや、感覚の低下です。また、車を運転される方は、よく「ブレーキやアクセルを踏むことができない」とおっしゃいます。高カリウム血症になると筋力が低下して足の力が弱ってしまうためです。このような症状が出たら、透析予定日でなくてもすぐに病院に行き、透析を受けて血液を浄化する必要があります。

透析が2日あいたら注意を

― どのような時に発症しやすいのですか。

 高カリウム血症は、透析の間隔があくと発症しやすくなります。2日間透析を行なわない明けの日には注意が必要です。透析をお休みせず、決められたスケジュールを守って受けることが第一です。万一の場合に備えて、休日、夜間であってもすぐに透析を受けられるよう、日頃から主治医の先生に緊急連絡先をきちんと聞いておくようにしてください。

― 高カリウム血症予防のポイントを教えてください。

 果物、生ジュースやサラダなどの生野菜が好きな方は、ご自分で思っている以上に多くのカリウムを摂取しているものです。高カリウム血症は透析導入後1年目の患者さんに多いのですが、それは食事療法への理解がまだ十分ではないためだと考えられます。

注意したい合併症 2.心不全

― 一方、「心不全」もこわい合併症です。

 はい。透析患者さんは血液中のカルシウムとリンの濃度が高くなりやすいため、心不全に注意する必要があります。

― カルシウムとリンが、心不全とどう関係しているのですか。

 まず、血液中のカルシウムがリンと結びつくと石灰となり、血管内に付着して動脈硬化が進みます。血液は全身の細胞に酸素を届ける役割を果たしています。血液の通り道が狭くなると、心臓の奥の方まで必要な酸素が届かず、血液の流れをコントロールしている心臓の弁の機能も低下して、心不全をひきおこしてしまうのです。

― 何らかの初期症状はあるのでしょうか。

 何の予兆もなくいきなり心不全が起こるというケースはまれで、多くは狭心症の症状が現れます。一時的に胸や背中、肩やあご、歯に締めつけられるような痛みをおぼえます。痛む部位は必ずしも胸とは限りません。
 「歯が痛む」「背中が痛い」と歯科や整形外科で診察を受けても原因がわからない場合は、心不全の初期症状である可能性があります。主治医の先生に相談してください。

加工食品に含まれる「リン」に注意

― 心不全予防のポイントを教えてください。

 体重(ドライウェイト)を増やさないようにして心臓の負担を軽くすることと、毎日の食生活でリンを摂りすぎないようにすることが重要です。リンは乳製品や肉、魚介類、卵、大豆、ナッツなど幅広い食品に含まれていますが、食品添加物としても多くの加工食品に含まれています。
 一般の食品に含まれるリンの体内での吸収率は20〜60%なのに対し、食品添加物のリンはほぼ100%吸収されます。加工食品を頻繫に利用していると、血中のリン濃度が高い「高リン血症」になってしまいます。

― 血中のリンの値が高い場合はどのように治療するのでしょうか。

 高リン血症治療薬での治療が基本です。また、透析治療の時間や1分あたりの血液流量を増やすなど、1回あたりの透析量を増やすことも効果があります。一般的な血液透析は1回あたり3〜4時間ですが、最近は「6時間透析」という新しい血液透析も登場しています。また、病院に宿泊して夜間に透析を行なう「オーバーナイト透析」でも、長時間での透析が可能です。

患者さんへのメッセージ

 当院の所在地・福島県郡山市は、2011年の東日本大震災で大きな被害を受け、透析患者さんも避難所生活を余儀なくされました。避難所の食事と言えばカップ麺やバナナなど、カリウムやリン、塩分の高いものばかりでした。しかし、食事療法を理解されていた患者さんたちは、不自由な避難所生活の中でも節制したおかげで体調を維持することができました。透析患者さんにとって、食生活がいかに大切であるかを改めて認識したものです。
 透析医療の技術は大きく進歩しました。42年もの間、透析を受けながら生活している方もいらっしゃいます。50代以下で腎機能が低下した方には腎移植という選択肢もあります。どうか前向きに治療を続け、合併症を予防して、元気で生活を楽しんでいただきたいと願っています。

お話を伺った先生

熊川 健二郎 先生

寿泉堂クリニック 院長

病院のご紹介

病院名 公益財団法人 湯浅報恩会 寿泉堂クリニック
所在地 福島県郡山市駅前1丁目5番7号
TEL.024-939-4616(代表)
診療施設 クリニック、健診センター、人間ドック、透析センター
Webサイト http://www.jusendo.or.jp/cln/
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L.JP.MKT.CN.05.2018.3702

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