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ドクターに学ぶ透析

「透析とは何?」「どんな治療をするの?」「普段注意が必要なことは?」。
透析患者さんやこれから透析を始める方は、さまざまな疑問や不安を感じることがあるでしょう。
そこでより良い透析生活を支えるために、治療や気を付けたい症状、食事、運動など、透析に関する知識をドクターに学びます。

透析患者さんの心臓病予防

― ここからは循環器の専門医である大村先生に、透析患者さんの心不全についての解説をお願いします。

 血液透析・腹膜透析に共通して、透析患者さんは一般の方よりも動脈硬化、狭心症、心不全のリスクが高いので注意が必要です。慢性腎不全である透析患者さんは体内の水分、リン、カルシウムの調節がうまくできません。そのため、血管壁にリンやカルシウムが石灰となって付着し、血管の弾力性が失われた「動脈硬化」となります。硬くなった血管を通る血液の量や質に大きな変化が生じると、血管や心臓が強いストレスを受け、狭心症や心不全となるのです。
 狭心症の発作が起こると、胸や背中がしめつけられるような痛みがあります。通常5〜10分で治まりますが、症状が消えても早めに循環器科を受診するようにしてください。特に糖尿病から透析導入となった方は、神経障害の影響で痛みを感じにくいものです。急な冷や汗、気分が悪くなった、吐き気といった症状が心筋梗塞の前兆として出ることがありますので、すぐに受診が必要です。
 なお、心臓の状態が非常に悪化するまで症状が全く出ない方もいらっしゃいます。早期発見のためには、症状がなくても年に1回程度は循環器科のある医療機関で定期的に心臓の検査を受けるとよいと思います。

― では、運動についても教えてください。検査で心臓病のリスクがあると指摘されていても、運動をしてもよいのでしょうか。

 できる範囲で体を動かすことはむしろ望ましいと言えます。安静第一と家の中でばかり過ごすのは却ってよくありません。1日1時間程度のウォーキングならそれほど大きな負荷にはなりませんし、心臓リハビリテーションという意味でも有効です。足は第二の心臓と言われますが、足に筋肉がつくと、心臓がうまく使える助けにもなります。適切な心拍数などは患者さんの年齢や健康状態によっても違いますので、主治医と相談しながら、きついと感じた時はやめるという形で行うとよいでしょう。

― 心臓病予防という観点から、食生活で気をつけたいことを教えてください。

 新田先生のお話にもありましたが、栄養管理をしっかりしながらきちんと3食とることが基本です。心臓の負担を軽くするためにも、1日2食よりは3食に分散してエネルギーを摂るようにしてください。
 「これをやめれば心臓病によい」というものはありませんが、体重の増加と塩分の摂りすぎには注意が必要です。食生活をきちんとしようと心がけている方は、その後の経過も良好ですので、ぜひ意識していただきたいと思います。

患者さんへのメッセージ

 現在は腹膜透析・血液透析を問わず、人工透析治療の技術が確立しています。せっかくの高度技術を使える時代ですから、しっかり活用して腎不全と上手につきあっていただきたいと思います。透析を続けながらもできるだけ自由な活動ができるように、患者さんと医療者が協力し合いながら、一番よい状態を保っていきましょう。(新田先生)

「腎不全は腎臓の病気」と理解されている方が多いのですが、実際は腎臓だけではなく、全身の血管を侵す全身病です。人工透析導入の時から全身の血管の病気が始まっていると考えてください。ただ、あまり神経質にならないことも大切です。心臓への影響を最小限にするために運動や食事に留意しながら、病気とうまくつきあっていきましょう。(大村先生)

お話を伺った先生

新田 豊 先生

済生会下関総合病院 腎臓内科 科長

大村 昌人 先生

済生会下関総合病院 循環器科 科長

病院のご紹介

病院名 社会福祉法人 恩賜財団 済生会支部 山口県済生会下関総合病院
所在地 山口県下関市安岡町8-5-1
TEL.083-262-2300(代表)
診療科目 外科・泌尿器科・消化器内科・循環器科・形成外科・放射線科・皮膚科・膠原病内科・整形外科・心臓血管外科・腎臓内科・小児科/新生児科・緩和ケア内科・耳鼻咽喉科・病理科・リエゾン科(こころの外来)・産婦人科・脳神経外科・呼吸器科・麻酔科・眼科・歯科口腔外科・神経内科
Webサイト https://www.simo.saiseikai.or.jp/

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