透析を受けながら活躍する人々

掲載:2014年 vol.18

宿野部 武志さん

透析患者であり、社会福祉士である。
両方の視点を大切に、患者さんをサポートしたい。

宿野部 武志さん

株式会社ペイシェントフッド代表・社会福祉士

宿野部 武志さん
1968年、埼玉県川越市生まれ。大学卒業後、大手電機メーカーに就職し14年間勤務。大学受験の時期に血液透析を導入したことから、将来は福祉の仕事に携わりたいと考えていたため、2006年に退社し福祉の専門学校へ通う。卒業後、社会福祉士の資格を取得し、2010年に株式会社ペイシェントフッドを設立。現在は、透析患者さんの生活相談サポートや、より良い透析クリニックのためのコンサルティングなど、幅広い事業を展開している。

腎臓病や透析に関わるすべての人に幸せを。
忙しくも、やりたいことはまだまだあります。

ボランティアコーディネーターの資格も持つ宿野部さんは、さまざまな人の「生きがい」を探すお手伝いも。「透析患者さんには、透析のために日々を送っている人も多い。でも、夢や目標を実現するために透析をしていると考えてみては」と話します。

 私は生まれつき腎臓が弱く、3歳の時に慢性腎炎と診断されました。その頃から毎月通院していたのですが、18歳のちょうど大学受験の時、腎不全から血液透析を導入することになったのです。大学卒業後は大手の電機メーカーに就職し、上司や同僚にも恵まれた良い環境で14年間勤めることができました。でも、私自身が透析を導入した経験や、当時所属していた人事部で介護・傷病休職を取る人たちと接してきたことから「将来は福祉の仕事に就きたい」という気持ちがふくらんでいきました。両親にも相談しましたよ。でも「会社を辞める」と話したら、泣かれてしまって。私は一人っ子でもあるので、仕事を続けることで両親が安心するのならと、一時は退職を思い止まりました。
 それから数年後、38歳で副甲状腺機能亢進症を発症しました。再度入院することになって、また福祉への思いがよみがえりました。今度は両親も納得してくれて、退職することになりました。上司や同僚は最初引き止めてくれましたが、思いを伝えるとわかってくれて、今では応援してくれる心強い味方です。
 私は社会福祉士を目指そうと考えていましたが、卒業したのは法学部だったので受験資格がありませんでした。そこで、福祉の専門学校に入学することにしました。入学後は資格の勉強をしながら、現場実習なども経験して1年間で卒業。するとその年、今度はなんと腎臓ガンが見つかったのです。ショックでした。透析を導入する時は、それ以前から腎臓が弱っていることを知っていたので、ある意味予想していた部分もありました。でも、まさかガンになるとは思ってもいなかったし、重い病気に死を想像してしまい、病院からの帰りには「両親に何と言おう」と考えながら、こぶしを強く握っていないと涙が出てきてしまう状態でした。とにかく、怖かったんです。その後、詳しく検査をしてドクターのセカンドオピニオンなども取り入れながら、左の腎臓を摘出する手術を受けました。現在も定期的に検査を受けていますが、元気に過ごしています。

宿野部さんが代表を務める会社(奥)と、Webサイト「じんラボ」(手前)のパンフレット。「じんラボ」のロゴには、宿野部さんのお顔のイラストがあり、とても親しみやすい印象です。

 その後、取得した社会福祉士の資格を生かして社会福祉協議会で働いたり、以前入院していた病院の看護師さんとNPO団体を作って医療相談などを受ける仕事をしていました。そして2010年、そのNPO団体を発展させ法人化することになり、「株式会社ペイシェントフッド」を設立したのです。
 現在は、私自身が「透析患者であり社会福祉士である」という視点を大切にしながら、患者・ご家族の相談を受けたり、長期通院・長時間滞在である人工透析の病院をより良くするためのコンサルティング、院内教育(研修や講演)、また医療関連企業へのコンサルティング・講演を行っています。これからは透析施設に特化した人材紹介事業、患者の就労支援事業も行う予定です。それから、透析に関する基礎知識の紹介や最新情報の発信、患者さん同士が交流できるサイト「じんラボ」も開設しました。病気と向き合い、正しい情報を知り、互いに支え合い、そして自立する。そのサポートをすることで、腎臓病や透析に関わるすべての人が幸せになることができたら、と思っています。
 忙しい毎日ですが、やりたいことはたくさんあります。これからも、ますます精力的に活動していきたいですね。

Webサイトのご案内

じんラボ http://www.jinlab.jp
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