透析を受けながら活躍する人々

掲載:2014年 vol.18

小林正知さん・小林史知さん

透析を〝できない理由〞にするのではなく、自分ができることを探して楽しみたい。

岡本 覚さん

無塩ドットコム代表・減塩ソムリエ

1976年、兵庫県宝塚市生まれ。デザインの専門学校を卒業後、アパレル会社に就職し、飲食事業部で勤務。幼少の頃から腎臓が弱く、28歳の時に受けた検査により血液透析を導入。現在は透析患者さんや、高血圧・腎臓病の方に減塩・無塩商品をお届けするサイト「無塩ドットコム」を主宰。また、パティシエである弟さんと一緒にカフェ「クロエ」を経営。幅広い方に向け、おいしい食事や安心できる食品を楽しんでもらえる取り組みを行っている。

透析を始めた頃は、孤独感がありました。だからこそ
同じ立場の患者さんに、心と体を支える情報を届けたい。

あたたかな陽光が差し込む、1階のカフェで。透析患者さんの役に立ちたいと仕事に奮闘する一方、「透析前にはよく旅行に行っていたんです。今は海外でもサポートしてくれる機関があるから、出かけてみたいですね。」

弟さんと一緒に経営しているカフェ・クロエ。

パティシエである弟さんと一緒に。「弟はとても明るい性格で、いつも私を支えてくれています」と岡本さん。

 透析を始めて、8年になります。私は、小さい頃に血尿が出たことがあって、それ以来20歳頃までは腎臓の検査をこまめに受けていました。でも専門学校を卒業して就職してからは毎日が忙しくて、なかなか病院にも行けなくなっていたんです。しばらくして、風邪のように少し体がだるくなることが増えてきました。さらに吐き気や全身がつる症状が起こるようになってきたのですが、もともと我慢強い性格ということもあって、仕事は気力で乗り切っていました。この状態が2〜3年ほど続いたでしょうか。体があまりにつらくなって病院へ行くと、すぐに透析の手術をすすめられました。
 当時は「透析」という言葉は知っていたものの、知識がまったくなかったので、ショックを受けるよりもまず透析について知ることから始まりました。私は血液透析をしているので、週に3回、近くのクリニックに通うことになります。日常生活がそれまでと大きく変わり、私は少しずつ孤立感に悩み始めました。クリニックでは自分よりも年配の方が多くて、あまり話をするきっかけがなかったり、周囲の人と何かを一緒にしようにも週に3日も早く帰らなければいけない状況で、何に対しても打ち込めない気持ちになりました。
 私はこの頃、透析のことと、それ以外の仕事や生活のことを分けて考えていました。どこかで透析のことを切り離して、少し避けていたのかもしれません。でも、透析をしていることも含めて自分自身です。「透析をしているからできない」のではなく、「透析しているということを受け入れて、できることを探していこう」と考えるようになりました。そして、透析患者さんの中で私と同じように孤独感を持っている人や若い人たちのために何かしたいと、ブログを始めました。私が透析を導入した当初にいろんな情報を集めた経験から、特に初期導入の人たちをサポートして、できるだけ不安を解消するお手伝いをしたいという気持ちもありましたし、「同じ状況にいる人が他にもいる」「自分だけじゃない」というメッセージを伝えたかったのです。
 ブログへの反響に私自身も元気づけられる一方で、他にも何かできないかと考え始め、「無塩ドットコム」という高血圧や透析、腎臓病の方に減塩・無塩商品をお届けする通販サイトを開設しました。私たちは食事に制限があり、患者さんの中には不便に感じている人が多くいらっしゃるはずだと考えたのです。サイトを立ち上げてまだ1年弱ですが、いろんな方が目に留めてくださり、お客様も増えました。今後は、もっと商品を充実させていきたいですね。オリジナル商品の開発も目指しています。
 今、私は透析をしながら「仕事が趣味」と言えるほど忙しい毎日を送っています。通院にかかる時間を考え、最近は在宅透析にも興味を持っています。こんなに前向きな気持ちでいろんなことに打ち込めるのは、やはり周りで支えてくれる家族や友人、職場の仲間のおかげです。これからも感謝の気持ちを忘れず、自分の経験を活かしながら、多くの人に喜んでもらえる仕事をしていきたいと思っています。

Webサイトのご案内

無塩ドットコム http://www.muen-genen.com/
栃減塩・無塩の食品や調味料を販売する専門サイトでは、国内最大の「無塩ドットコム」。こだわりの詰まった安心の食品を、多数取り揃えています。

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