透析を受けながら活躍する人々

掲載:2016年 vol.25

泉 由香理さん
「熊本県は人口比で透析患者が一番多い県なんです。でも、自然が豊かでおいしいものもたくさんあるから、 地元の良いものを生かして、患者さんを元気にしていきたいですね」と泉さん。

食に関する知識や経験を生かして、
すべての人が元気になる料理や場所をつくっていきたい。

泉 由香理さん

料理研究家・フードプロデューサー

泉 由香理さん
1971年、熊本県上益城郡生まれ。福岡大学で学び、熊本県内の食品メーカーで勤務。都内の大手百貨店や、熊本県のアンテナショップ「銀座熊本館」などで、料理教室や商品PRを行う。一方で、24歳から34歳までバセドウ病、37歳の時に子宮筋腫を患う。さらに慢性腎不全と診断され、血液透析を導入。現在は、培ってきた「食」を中心とする知識・経験を活かし、メニュー提案や料理教室の開催、商品PRを行う他、同じ透析患者さんをサポートする情報を積極的に発信している。

著書のご紹介

『色を食べる — 5色の色で「気」の働きを高める —』
泉 由香理(共著:礪波洋子)/ぶんぶん書房
東洋医学(陰陽五行)に基づく五色の食材を組み合わせ、心身の元気をサポートするメニューを提案。毎日作れる簡単レシピが魅力。

働きづめで負担をかけた心と体を、
熊本の自然と「食」が癒してくれました。

泉 由香理さん

「保存期の時は体がつらく、気持ちも不安だった」と話す泉さん。「当時の経験があるからこそ、透析患者と保存期の方が集い、交流できる場を作りたい」と夢を語ります。

 現在、熊本県で料理研究家として活動しています。大学卒業後から、「食」に関するさまざまな仕事に携わってきました。ごまを扱う食品メーカーで勤務し、東京・日本橋にある百貨店のキッチンスタジオで料理教室を開催したり、売り場で商品の提案もしました。また、銀座にある熊本県のアンテナショップで、料理教室を開いたこともあります。食品や調理に関する知識と経験は、毎日の食事に工夫が必要な今も役立つことが多く、同じ透析患者さんが少しでもおいしく食事を楽しめたらと思い、レシピなどを提案しています。
 私は社会人になってからさまざまな地域で働き、出張も多く、外食ばかりでした。当然栄養のバランスが偏り、濃い味付けの食事が中心になります。腎臓の機能が段々弱くなり、医師から将来的に透析を見据えて生活することをすすめられました。保存期は2年ほどだったと思います。当時悩んだのは、「透析とは何か」「何を食べたら良いのか」、こうしたことがまったくわからないことでした。あまりに情報が少なかったんですね。次第に気持ちが沈んでいき、透析から逃れようとする自分がいました。そんな中、体調を崩し、当時いた福岡から救急で熊本の病院に搬送されたのです。
 透析を導入し、故郷の実家で気持ちが少し落ち着いた頃、本当の意味で「食」の大切さに気付き始めました。毎日の食事に目を向けてみると、野菜や味噌といった地元の食材のおいしさが身に沁みました。こんなに素晴らしいものが身近にあったのだと、改めて知ったのです。さらにもう一つ感動したのが、自然の豊かさでした。色彩を感じられない生活を送っていたので、地元の緑を見た時に「熊本は森の都だ」としみじみ思いました。そういえば、忙しく働いていた時期に偶然雑貨屋に立ち寄り、その店のカラフルな商品を見て気持ちが元気になったことがありました。色は、心を癒すのですね。こうしたきっかけから興味が広がり、2009年に『色を食べる』という本を出版しました。この場合の「色」は、食材そのものの色というよりも、東洋医学の陰陽五行に基づく五色のことで、五臓(肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓)の働きをそれぞれサポートしてくれる食材を5つのカテゴリーに分類したものです。よく「医食同源」といいますが、食べるものが心身を作り、支えてくれます。病気とまではいかずとも、不調が気になる時におすすめのメニューをまとめました。

ブログのご紹介

「イズミユカリのいい塩梅」
http://ameblo.jp/izumiyukari-iianbai/

食事を中心に、仕事や家事、透析、恋愛など、あらゆる面でちょうど「いい塩梅」を目指す自身の奮闘記を綴ったブログ。

「イズミユカリのごま熊キッチン」
http://cookpad.com/recipe/list/3480

レシピ投稿サイト「クックパッド」。ごまの新しいおいしさを発見できるレシピを中心に、泉さんのアイデアが光るメニューが満載。

 料理については他にも、熊本県の患者会青年部で講演や料理教室を行ったり、減塩におすすめの商品をおすすめしたり、ブログなどでも積極的に情報を発信しています。他には、透析を導入していることで就職が難しい方のために、知り合いの会社の中で互いの条件が合うことがわかれば、紹介もしています。私自身、いろんな方のお世話になり国からの援助も受けて今があるのだから、できることで社会に貢献し、恩返しをしていきたいと思っています。
 今後取り組みたいことも、たくさんあります。まずは、保存期の方や透析患者さんが交流できるカフェを作ること。これは、自分が保存期の時に一人で悩んだ経験がもとになっています。また、良い商品があれば一般の方を含め全国の人に紹介していきたいし、それができるお店や教室のような場も作りたいですね。夢を実現できるよう、日々チャレンジしていきます!

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