透析を受けながら活躍する人々

掲載:2017年 vol.28

中條 一之さん
お店の看板商品でもある和菓子「縁むすび」を手に。
「これからも、たくさんの人に喜んでもらえる新商品を考えていきたいですね」。

家族や病院のみなさんのサポートに感謝しながら、自分なりの「透析ライフ」を楽しみたいです。

中條 一之さん

御菓子処 中條 代表

中條 一之さん
1958年、石川県鹿島郡生まれ。石川県で100年続く「御菓子処中條」の四代目当主。金沢で6年、京都で1年修行した後、29歳の時に実家に戻り家業を手伝う。和菓子を中心とした菓子作りの一方で、地元の町おこしにも積極的に参加。特産である古代米を使ったまんじゅうなど、新商品の開発やPRを行う。2013年に慢性腎臓病と診断され、翌年に血液透析を導入。現在は仕事の傍ら、週に3回3時間半の透析に通う。体力づくりのためのウォーキングやサウナなど、意識してこまめに自己管理を続けている。

つらいイメージだった透析。
実際に始めたら、
驚くほど気持ちが切り替わるように。

 石川県鹿島郡で、和菓子屋を営んでいます。もとは曾祖父が津幡(つばた)というところでお菓子屋を始めたのですが、祖父が当時「能登上布」などの繊維業が盛んだった中能登で店をしようと能登部駅の駅前に場所を移しました。その後、父や私が近くで移転・改築を行い、今に至ります。2017年は創業から100年にあたるんですよ。
 地域のみなさんにとてもお世話になっているので、地元のお役に立てることには、積極的に参加しています。例えば15年ほど前から続く「一の会」もそのひとつ。実は、1987(昭和62)年に、近くで炭化した米の塊が発見されたんです。それは弥生時代中期の「日本一古いおにぎりの化石」だったのですが、これを町おこしに活かそうという取り組みが起こりました。そんな中、古代米の栽培を始めた農家さんを中心に結成された異業種交流グループが「一の会」です。古代米を原料にした日本酒、地ビール、そば、うどん、お茶などが開発され、私は「一」という和菓子を考案しました。これは、スポンジ生地に黒米の粉末を加えて蒸しあげたふんわりやわらかいお菓子で、あっさりした甘みが自慢。子どもから年配の方まで人気の商品です。他にも「縁むすび」というおにぎり形のお菓子も珍しいですよ。あっさりと炊き上げた餡をお団子の生地で包み、さらに古代米を加えたもち米で包んだ和菓子。見た目はおにぎりですが、小麦の生地や餡が出てきて、楽しい驚きもあります。特に竹籠のパッケージ(要予約)に入ったものは、昔懐かしい趣も感じられると思います。こうして新しいことに挑戦するのは、昔から好きなんです。和菓子職人の修行を終えてからも、時々京都に勉強に出かけたり、全国の百貨店などで催事があれば積極的に出品してきました。いろんな人との出会いを通して、刺激をもらえるし、新商品のヒントにつながることもあります。
 でも一方で、和菓子屋の仕事はとてもハードなんです。早朝や夜中まで作業をしたり、昼間は配達があったりと毎日やることがたくさんあります。私の腎臓の具合が悪くなった原因は、食事や睡眠など不規則な生活によるところが大きかったと思います。2013年頃に突然体のむくみが気になるようになり、病院に行ったら慢性腎臓病と診断されました。「将来的には透析に」と医師から聞いた時は、本当にショックでした。透析に関する知識がまったくなくて、つらいイメージしかなかったからだと思います。その後、2ヶ月入院し、退院から半年ほどしてから血液透析を導入しました。透析を始めてからは、自分でも意外ですが気持ちが切り替わるようになりました。これまでは一日中仕事をしていましたが、「週に3回3時間半の透析時間だけは、しっかり休もう」と考えるようになったのです。もともとポジティブな性格ですが、今お世話になっている病院は、看護師さんをはじめスタッフのみなさんがいつも明るく心配りをしてくださるおかげで、より前向きに透析生活を送れていると思います。これからも明るい「透析ライフ」を、自分なりのペースで楽しんでいきたいです。
中條 一之さん

病院では、医療スタッフだけでなく、患者さんにも積極的に話しかけるという中條さん。「情報交換をすることはすごく大切。新しい発見につながることもあるし、何より楽しく話していると気持ちが晴れます」。

御菓子処 中條

〒929-1604
石川県鹿島郡中能登町能登部下
93-28-1
TEL 0767-72-2070
(9時〜19時まで)

http://www.ishikawa-meibutsu.com/

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