透析を受けながら活躍する人々

掲載:2017年 vol.30

福本 政子さん
福ぶっく堂は、2部屋をつなげた空間。ジャンルや作家ごとに本が並べられ、本棚の上にはご友人からの開店祝いの花や額が大切に飾られている。

今年1月に古本屋をオープン。
マイペースで、細く長く続けていきたいです。

福本 政子さん

古本屋「福ぶっく堂」 店主

福本 政子さん
1964年、広島県広島市生まれ。大学卒業後、地元の大学の図書館で司書として勤務。結婚後、ご主人の転勤により大阪・島根・岡山へ引っ越す。30歳の頃に腎生検を受け、保存期の食事療法などを開始。島根在住の頃に腹膜透析(APD)を導入し、その後同じく腹膜透析のCAPDに移行、5年後に血液透析に移行。2013年に広島へ帰郷後は、地域の文庫や腎友会をサポートするかたわら、2016年にオーバーナイト透析に移行し、2017年には古本屋「福ぶっく堂」を開店。自宅のように落ち着く空間でファンも多く、憩いの場として愛されている。

腹膜透析、血液透析を経て
オーバーナイト透析へ移行。
自由に使える時間がうれしい。

 腎臓の調子が良くないとわかったきっかけは、大学卒業前の健康診断でした。尿たんぱくの数値が高いと指摘されたのです。でも特に気になる自覚症状もなく、その後の検査でも問題なかったので、そのままにしていたのです。大学卒業後は、地元の大学の図書館に司書として勤め、結婚しました。
 30歳の頃、健康診断で検査結果が思わしくなく腎生検を受けたところ、腎臓がとても弱っていることがわかりました。その後39歳の時に、夫の転勤のため、私も仕事を辞めて一緒に大阪へ引っ越すことになりました。大阪は食べ物がおいしく楽しいところでしたが、その頃から何となく体調がすぐれず、貧血があったりだるくて顔色が悪いと思うことも増えてきました。
 大阪で1年半ほど暮らし、次の転勤で松江へ引っ越した時、腹膜透析(APD)を導入。次に岡山へ移る直前に体調を崩して、同じ腹膜透析ですがCAPDに切り替えました。そして5年目に現在の血液透析に移行。すると体がどんどん楽になりました。血液透析では強制的に除水するため、むくみが取れたんですね。また腹膜透析の時は毎日4回のバッグ交換が大変でしたが、血液透析は週3日の通院になり、私にとっては気持ちが少し楽になりました。2013年には故郷である広島に戻り、2016年の夏からはオーバーナイト透析を開始。最初は緊張で夜はなかなか寝付けない日が続きましたが、3ヶ月ほどすると慣れて、今ではよく眠れています。何より昼間、仕事や家事など自由に時間が使えるのが良いですね。
 毎日の食事については、薄味にはすぐ慣れたので、減塩はそれほど大変ではありませんでした。家族も薄味が好きなので別メニューにする必要もなく助かっています。ただ、好きな果物や生野菜は食べ過ぎないよう気を付けています。オンライン透析やオーバーナイト透析になってからは、食事を制限することより、しっかり食べるよう心がけています。運よく自分の体とライフスタイルに合った透析を受けることができて幸せです。
 広島に戻ってきて、私は新しく地域の文庫や腎友会のお手伝いを始めました。また同時に、それまで考えていた夢を形にしたいと思うようになりました。それは「古本屋を開く」というもの。「本を売る」というよりも、「好きな本を置き、本を媒介にして人が来てくれる場所を作りたい」という気持ちで、思い切って2017年1月に「福ぶっく堂」と名付けてスタートしました。
 お店の場所は、私の実家の空いている部屋を使わせてもらっています。週3日オープンしていて、近所の方が散歩中や、仕事の休憩時間に立ち寄ってくださったり、遠方からも本好きの方が来てくださったりします。店を始めることより、続けていくことの方がきっと大変だと思います。焦らずに細く長く、自分のペースで続けていけたらいいですね。
 こうして好きな本に囲まれて好きなことができるのも、家族の理解と応援があるからこそ。そして、忘れてはならないのは、今までもこれからも命を支えてもらう病院や医療に携わる方々への感謝です。自分一人では生きられないことを意識しながら、残りの人生を楽しく過ごしていけたらと思っています。
福本 政子さん

「栄養成分は1日分をトータルして捉え、コントロールするようにしています」と福本さん。「ポイントをしっかり押さえつつ、神経質になりすぎないのが大切ですね」。

古本屋「福ぶっく堂」

http://fukubookdou.com/

〒730-0051
広島県広島市中区大手町5丁目11-9
TEL 090-3179-4703
(営業日時/火・木・土曜日の11:00〜17:00)
随時蔵書を入れ替えながら、店内には約1,000冊もの本が並ぶ。本の世界をゆったり満喫できる、くつろぎの空間も魅力。

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