知っておきたい「リン」の話 vol.8 緊急時にそなえて覚えておきたいこと

検査数値は体調を管理するバロメーター

 透析患者さんは体重や血圧をはじめ、血液検査でわかるカリウムやリンの値などさまざまな検査を受けています。これらは透析がうまくいっているか、水分や塩分がきちんと管理できているか、患者さんの日頃の状態を見るものです。一定の目安を超えれば医療スタッフから、日常生活についての指導がありますので、どうしたら数値が改善するかいっしょに対策を考えましょう。
 一方、外出先や旅行先などで透析治療を受ける場合や、災害時などの緊急時にいつもと異なる病院で透析を受ける場合、透析治療をスムーズに受けるためにぜひ覚えておいていただきたい重要な情報があります。

検査数値よりも大切な情報は「B型肝炎」「C型肝炎」「HIV」の3つ

イメージ 冒頭に挙げた日頃の検査値は日々変わるものですし、緊急時にはわからなくても透析は受けられます。それに対して、ウイルスに感染しているかどうかの情報、具体的には「B型肝炎」「C型肝炎」「HIV」の検査結果が陽性(感染している)か、陰性(感染していない)かの情報は必要です。いずれも血液から感染する病気で、検査結果がわからないと、最悪の場合透析治療を受けられないこともあります。個人情報を守る意味でこれらのウイルス感染の検査結果を文書で渡さない病院もありますが、ぜひ自分で覚えておいていただきたい情報です。
 「B型肝炎ウイルス」や「C型肝炎ウイルス」は文字通り、肝炎を引き起こすウイルスです。感染しても多くの人は発症せず、ウイルスが肝臓などに棲みついたままとなる「持続感染」となります。持続感染からやがて慢性肝炎を発症した場合に適切な治療を受けないと、肝硬変や肝がんといった重い病気を起こす可能性があります。
 もう一つの「HIVウイルス」は正式には「ヒト免疫不全ウイルス」、「エイズウイルス」ともいい、エイズ、つまり後天性免疫不全症候群を引き起こすものです。最初は無症状ですが、無治療であれば数年から10年程度で免疫力の低下が起こります。
 いずれも無症状のことが多いので、いくら元気で体調がよくても「感染していない」とは言い切れません。
 もちろん、これらのウイルスに感染していても、適切に治療を受けていれば発症しないように保つことはできますので、心配はいりません。でも、透析治療の際には医療スタッフや他の患者さんに感染しないようしっかり対策を講じる必要があります。ぜひご自身の状況を覚えておいていただきたいと思います。

使ってはいけない薬の名前も覚えておこう

イメージ もう一つ覚えておいていただきたいのは、「禁忌薬剤」と呼ばれる、使ってはいけないお薬の名前です。アレルギーや強い副作用が出るなど、患者さん一人ひとりの体質によって禁忌薬剤は異なります。緊急時にも使われることがないよう、いつもの病院で確かめて覚えておくとよいでしょう。

風間 順一郎 先生

お話を伺った先生

新潟大学医歯学総合病院
風間 順一郎 先生

医歯学総合病院 血液浄化療法部准教授。医学博士。腎臓疾患や透析に関する研究・治療に従事され、全国での講演も多数。東北地方太平洋沖地震では、被災された透析患者の受け入れに尽力されました。

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