掲載:2016年 No.24
川崎医科大学附属病院 市川 和子 先生
川崎医科大学附属病院 栄養部部長。腎臓疾患の患者や透析をされている方を中心に、栄養指導を実施。チーム医療の一員として、栄養面から患者をサポートされています。臨床透析や栄養ケアに関する著書も多数。
地元の食材や季節のメニューを取り入れた“おいしい透析食”を楽しく学ぶ
バイエル薬品株式会社では、2008年から全国各地で「透析食レシピ クッキングセミナー」を行っています。透析を導入されている患者さんやそのご家族が参加し、管理栄養士など食や栄養のプロによるアドバイスのもと、透析食を作って試食するというセミナーです。いずれも地元の食材や、季節のイベントに合ったメニューを取り入れながらも、自宅で手軽に作れる内容で、「新しい発見がある」「いつもの食事作りにぜひ取り入れたい」と大変好評です。
今回のセミナーは、岡山県の川崎医療福祉大学で開催。当日は41名の方が参加されました。まずプログラムの始めに、「丁寧に食べる、丁寧に生きる」というテーマで、川崎医科大学腎臓高血圧内科学の教授・佐々木環先生による講演が行われました。先生は、食器にこだわったり家族とのコミュニケーションを楽しみながらしっかりと食べる「丁寧な食事」が大切であり、さらに過食や間食、孤食、偏食、運動不足など腸に負担をかける習慣が腎臓にも悪い影響を与えていることを挙げながら、こうした生活を改善することが「丁寧に生きる」ことにつながると話されました。
残りがちなカレーをアレンジ。
サラダバイキングやデザートで、満足感のある献立に。
佐々木先生の講演の後、いよいよ市川和子先生の監修による、「透析食レシピクッキング」が始まりました。当日のメニューは、「とろとろ牛すじカレー」をメインに、サラダバイキングとクリスマスデザート(ミニケーキ)、紅茶。また、家庭で作った時に残りがちなカレーのアレンジメニュー3種(カレーサンド・カレーラーメン・カレーグラタン)も作り、豪華で季節感あふれる献立になりました。
参加者の方は6つのグループに分かれ、それぞれのグループの助手のみなさんと調理に取り組みます。手順を確認し合ったり、分担を決めながら、てきぱきと調理が進んでいきます。「今日初めて料理したけど、楽しい」「彩りがきれいだと、食欲がわくね」「いつものシンプルなお菓子(ケーキ)も、少しの工夫でクリスマスらしくなるね」と楽しく話し合いながら、スムーズに完成に近づいていきます。その間、市川先生が各テーブルを回りながら、アドバイスをされます。野菜の切り方、減塩のコツなど、今回の調理だけでなく毎日の食事作りにも役立つ内容で、参加者のみなさんも大変参考になった様子です。
そして予定よりも早く、料理が完成。各自トレイに料理をのせ、食卓につきます。食事中、参加者の方からは「こんなにボリュームたっぷりの料理が食べられてうれしい」「あっさりとしておいしい」「カレーはいろんな食べ方ができると分かったから、今度は家でもやってみたい」という声が。同じテーブルの方同士で会話もはずみ、大変盛り上がりました。
最後に市川先生から今回の調理についてのまとめやアドバイスがあり、「食事を摂りにくい時もあるかもしれませんが、やはり食べることが基本。しっかり食べて、しっかり透析をすることが大切です」と締めくくられました。