掲載:2016年 No.26

読書の秋に! おすすめBOOK 3冊

全国を列車でめぐる待望のシリーズ4作目。

会社員 髙橋直義さん

1958年、兵庫県神戸市生まれ。20代の前半に急性腎炎と診断され、その後塩分やたんぱく質など保存期の食事制限を行う。45歳の時に腹膜透析を導入。現在は在宅血液透析を行っている。神戸に本社を置く企業に勤める一方で、地元を拠点にした列車の旅を楽しみ、その時の風景や心に浮かんだ思いを本に綴る。

 お仕事のかたわら、地元・神戸を拠点に列車の旅を楽しみ、その時に触れた風景や心情を綴ってこられた髙橋直義さん。これまでに『透析患者の日本一周鉄道の旅 西日本編』(Kindle版)をはじめ、『線路のある風景』(Kindle版)はシリーズで3冊発表されてきました。そして今年7月、同シリーズの4冊目でもある新刊『線路のある風景 〜八幡浜への旅〜』を発表。20歳の若さで亡くなった恩師を偲び40数年ぶりにお墓参りの旅に出る表題作の「八幡浜への旅」や、人生の節目に何度も乗った夜行列車・急行きたぐにの思い出を振り返る「急行きたぐに」など、6つの短編で構成されています。日常とは違う場所へ向かい、たたずむ中で見えた風景やさまざまに去来する思いを、一つひとつ書き留めた旅情あふれる一冊です。また、ご自身の在宅血液透析やオーバーナイト透析についても詳しく触れられており、透析をしながらも鉄道の旅を楽しむ髙橋さんの情熱に勇気がわいてきます。

『線路のある風景〜八幡浜への旅〜』

「自己管理の大切さ」を伝えるロングセラー。

有限会社富士ヘルス代表取締役 齋藤茂樹さん

1944年、福島県生まれ。高校卒業後、医療機器メーカーに入社。1985年に慢性腎臓病と診断され、これを機に退社。1988年、富士宮市に「有限会社富士ヘルス」を設立。1989年、血液透析を導入。その後C型肝炎への罹患がわかる。現在は、CKD(慢性腎臓病)患者用の自己管理食品を販売する一方で、自らの体験に基づき「自己管理の重要性」を発信する活動も積極的に行っている。

 透析27年になる齋藤茂樹さんが、「ひとりでも透析になる人を少なくしたい」という願いから、2005年『あなただけは透析にさせたくない』を出版。近年は、電子書籍版での出版要請が高まってきたことから、原本の電子書籍本として再版されました。この中で齋藤さんは、特に、定期的に診療を仰ぐ主治医との関係についても「医師任せにしないで、自らが主役になった自己管理こそが重要である」とまとめられています。他にも、27年前の透析導入時に受けた輸血でC型肝炎に感染したことや、医師が処方する肝庇護剤でも安定しなかった肝機能レベルが、自己管理食品によって今日まで正常値を保っているという肝機能の維持改善事例についても記述されています。

『あなただけは透析にさせたくない』

未来への希望と、生への感謝にあふれた一冊。

詩人・絵本作家 岡本明子さん

1973年、福井県福井市生まれ。幼少の頃から腎臓を患い9歳で血液透析を導入。移植を経て、看護学校を卒業した後は看護師として働く。その後、再び血液透析を導入。詩人・絵本作家として、2002年『ぞうに咲くひまわり』、2012年『もあのきもち』を出版。現在は、テレビ局に勤務しながら創作活動を続けている。

 岡本さんは、幼いころに透析を導入し、その後献腎移植を経験。元気になると「同じように病気で苦しむ人たちのお役に立ちたい」と看護師の道へ進みます。しかし、体調を崩して透析を再開。この時、自分の「想い」を遠くの人や未来の人も含めた多くの人たちに届けられたらと、詩集の出版を決めました。最初の詩集『ぞうに咲くひまわり』を2002年に発表。読んだ人から感謝や激励の言葉が届く中、2012年には2作目の絵本『もあのきもち』を制作。そして2014年、最新作である『ぞうの恩送り』が出版されました。その中の一編「雄島」では、「何のために生まれ生きるのかわからないと感じていた岡本さんが、1本の樹との出逢いで、自分は自分で良いのだと気付かされる様子」が描かれています。絶えず命の重さを受けとめ、生きていることへの感謝の気持ちがあふれた美しい詩に、心が洗われます。岡本さんは、「創作活動はライフワークで、生きる素晴らしさを実感する」といいます。未来への希望とあたたかい想いが詰まった絵本、ぜひ一度手に取ってみてください。

『ぞうの恩送り』

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掲載2016年 vol.26
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