秋の訪れを感じる
弘前・津軽の旅

掲載:2015年 vol.22

弘前城

木々が色づきはじめ、さわやかな空に秋を感じる11月。
しっとりと大人の旅を楽しみたいのが、青森県の弘前・津軽です。
勇壮で美しい夏のねぶた祭りも魅力的ですが、この時期もぜひおすすめ。
今回は散策にぴったりのスポットと、
青森ならではの伝統ある工芸品の数々をご紹介します。

弘前城
紅葉に彩られた弘前城。手前の下乗橋は、藩主と藩主から許しを受けた者以外は馬を降りて渡ったことから名付けられた。赤い欄干が美しい。

江戸の面影を今に残す、
自然豊かな城跡の公園。

 江戸時代、弘前藩の城下町として栄えた弘前。明治以降も東北を代表する大都市の一つとして、また多くの学校を有する学都としても発展してきました。
 弘前の中心に位置する「弘前城」は、2代目藩主・信牧によって1611(慶長16)年に築城。津軽地方の政治経済の中心地となりました。その後、落雷で天守を焼失しますが、1811(文化8)年に再建。現在は国の重要文化財に指定されています。
 明治に入り廃城した後は、旧藩主・津軽氏が城地の貸与を受け、城跡を市民公園として一般開放しました。これが「弘前公園」です。公園内には、天守をのぞむ赤い橋「下乗橋(げじょうばし)」や本丸、西濠、外濠など城の面影を残す場所の他、博物館や植物園もあり、市民の憩いの場となっています。敷地内は自然があふれ、この時期は紅葉が見もの。また桜も有名で、日本最古のソメイヨシノがあることでも知られています。

地図

ノスタルジックな雰囲気が魅力。
レトロな洋館がたたずむ街。

 弘前では、明治以降、教育に大変力を入れてきました。外国人教師を招いたことで、早くからキリスト教が伝わり、数多くの洋館が造られたといいます。そのいくつかは100年以上の時を超えて現存しており、街を歩けば、レトロモダンな美しい洋風建築物に出会えます。
 青森県初の私立学校・東奥義塾の外国人教師の住居として建設された館が「旧東奥義塾外人教師館」です。煙突やベイウインドウ(出窓)のデザインが特徴で、建物内部は当時の暮らしぶりを再現しています。また1階にはカフェも併設されており、窓外には、明治・大正時代に弘前で建てられた建物を再現した「ミニチュア建造物」を眺めることができます。
 旧東奥義塾外人教師館のすぐ近くに建つのは、「旧弘前市立図書館」です。1906(明治39)年、日露戦勝記念として建築されました。ルネッサンス様式を基調に、随所に和風様式が取り入れられ、八角形のドーム型双塔が大きな特徴。1931(昭和6)年まで、市立図書館として利用されていました。さらに下宿屋や喫茶店としても使われていた時期がありましたが、今は文化財として大切に保存されています。
 洋風建築の祖・堀江佐吉の傑作といわれているのが、「青森銀行記念館」です。青森県で最初、全国で59番目の国立銀行が、1904(明治37)年に移転した際に建てられた本店本館でした。頂上には展望台を兼ねた装飾塔を冠し、その先端にはインド寺院に見られるような相輪を配しています。また天井の「金唐革紙(和紙に金属箔を貼り、版木に当てて凹凸文様を打ち出し彩色を施す高級壁紙)」は全国でも珍しい貴重なもの。国の重要文化財に指定されています。なお堀江佐吉は、洋風建築の第一人者で、太宰治の生家「斜陽館」なども手がけました。

旧東奥義塾外人教師館

旧東奥義塾外人教師館

旧弘前市立図書館

旧弘前市立図書館

青森銀行記念館

青森銀行記念館

建築の技の粋を尽くした、
美しい和様の館に魅せられて。

 キリスト教が伝わったことにより、教会の建築も始まりました。「日本キリスト教団弘前教会」は、1906(明治39)年に建造された東北地方で最古のプロテスタントの教会です。パリのノートルダム寺院を思わせる双頭ゴシック様式の重厚な木造2階建てで、堀江佐吉の四男・斉藤伊三郎によって建造されました。建材は青森県産のヒバを使用。また津軽塗の聖餐台や説教台、あけび細工の献金籠はとても珍しく、この教会ならではの見どころといえます。
 「カトリック弘前教会」は、1910(明治43)年に建てられました。堀江佐吉の弟・横山常吉による木造建築です。教会自体は木造のロマネスク様式ですが、祭壇はオランダ・アムステルダムにある聖トマス教会から特別に譲り受けたゴシック様式のもの。非常に精緻な細工が施されています。また教会内部のステンドグラスは岩木山やりんご、津軽三味線などをモチーフにしたデザインで、弘前の景色や名物が光の中に浮かび上がります。
 さて、洋館だけでなく庭園や和館、茶屋などを見ながら散策が楽しめ、弘前に行った際にはぜひ訪れたいのが「藤田記念庭園」です。1919(大正8)年に造られた、弘前市出身の日本商工会議所初代会頭・藤田謙一氏の別邸で、弘前市が市制施工百周年を記念して整備し、1991(平成3)年に開園しました。広さ約6600坪の敷地には、大正時代をしのばせる洋館をはじめ、岩木山を眺望できる借景式庭園、池泉回遊式庭園などを配し、花菖蒲やツツジといった四季折々の花々が眺められます。
 このように、古き良き明治・大正時代の建築物が今に残る弘前の街。見どころの建築スポットは、それぞれ近くのエリアに点在にしているため、レンタサイクルや循環バスを上手に利用して、ぜひ堪能してください。当時に思いを馳せながら、ノスタルジックな雰囲気にひたれそうです。

藤田記念庭園
日本キリスト教団弘前教会
日本キリスト教団弘前教会

日本キリスト教団弘前教会

カトリック弘前教会

カトリック弘前教会

藤田記念庭園

藤田記念庭園

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