雄大な自然と美しい集落を訪ねる
晩秋の富山

掲載:2017年 vol.30

北は富山湾に面し、東は北アルプスが走る、壮大な自然が魅力の富山県。海の幸にも恵まれ、里山では古くから独自の文化が発展しました。一日ごとに秋の深まりを感じるこの季節。絶景を求めて、富山に出かけてみませんか。

黒部峡谷
秋の風情をたっぷり味わえるこの時季の黒部。日本を代表する山岳観光鉄道としても人気の黒部峡谷鉄道は、窓がない開放型の客車もあり、吹き抜ける風やゴトゴトと谷に響く車輪の音を満喫できる。

迫力ある黒部峡谷を、トロッコ電車で駆け抜ける。

富

山県をはじめ、岐阜県・長野県・新潟県の4県にまたがる飛騨山脈(通称:北アルプス)。そのほぼ中央にある鷲羽岳を源に、86kmにわたって黒部川が流れています。そして、黒部川の上・中流域にある大峡谷が「黒部峡谷」です。その断崖は深いV字に切り立つ険しさを見せる一方、四季折々で色合いを変える山々や清流・黒部川の美しさを楽しむことができます。
 この黒部峡谷を縫うように走るのが、黒部峡谷鉄道の「トロッコ電車」です。もとは、電力会社の専用鉄道で、電源開発のための工事にともなう資材や作業員の輸送に利用されていましたが、観光を望む人々の声によって1953年に一般輸送の営業が始まりました。トロッコ電車は温泉地としても有名な宇奈月(うなづき)駅から欅平(けやきだいら)駅までの全10駅を結び、その沿線には朱色が美しい新山彦橋や黒部川を見下ろす黒部万年雪展望台、川幅が狭く急流が迫力満点の猿飛峡(さるとびきょう)など、多くの見どころがあります。

生地の清水(いくじのしょうず)

生地の清水(いくじのしょうず)
黒部川には日本最大の扇状地があり、その扇部にあたる海岸近くで地下を流れた水が、黒部市で湧き出ている。中でも生地という地区では、掘り抜き井戸による地噴水を、共同洗い場などで今も利用している。

地図 猿飛峡

猿飛峡

宇奈月温泉 とちの湯

宇奈月温泉 とちの湯
猿飛峡は、黒部峡谷の中でも川幅が狭いところで、猿が川を飛び越えたことから名付けられた。現在は、特別名勝・特別天然記念物にも指定されている。また宇奈月温泉は、大正時代から続く富山最大の温泉郷。風光明媚な景色からも、与謝野晶子や川端康成などの文人墨客がこよなく愛したといわれている。

“世紀の大事業”を経て完成した、日本を代表するダム「黒部ダム」。

黒部ダム

折り重なるように広がる錦秋の山々や、ダムを満たす豊かな水が美しい。ダム展望台からは立山連峰をはじめ北アルプスの大パノラマを眺めることができる。また、記録映画の上映を行っている「くろよん記念館」や、日本でもっとも高所を運行する遊覧船「ガルベ」も幅広い世代から人気を集めている。


黒

部川上流に建設された、日本を代表するダムが「黒部ダム」です。堤高(ダムの高さ)は186メートルで日本一を誇り、総貯水容量は約2億トン。北陸地方屈指の人造湖である「黒部湖」を形成しています。
 黒部ダムがあるエリアは、黒部川の水量も多く、水力発電所に適していることが大正時代から知られていましたが、第二次世界大戦などもあり開発は進みませんでした。戦後、高度成長期により電力不足となったことでダム建設が検討され、1956年に着工。しかし建設現場は大変な奥地で、作業は困難を極め、完成までに実に7年の歳月を要しました。また、費やされた建設費は当時の金額で513億円、延べ1000万人が携わった、まさに「世紀の大事業」でした。その壮絶な歴史やエピソードは映画になるなど、今も語り継がれています。

黒部ダムカレー

黒部ダムカレー
黒部ダムをモチーフに、2009年から観光や地域振興を目的に販売されているカレー。当初の7店舗から現在は参加店が増え、ご当地グルメとしても人気を集めている。

殉職者慰霊碑

殉職者慰霊碑
資材運搬のために掘られた大町トンネル(現:関電トンネル)の工事の際、毎秒660リットルもの地下水と大量の土砂が噴き出す大破水帯に遭遇した他、工事中の転落やトロッコなど運搬車両の事故により171名が犠牲となった。ダムの堰堤東側の一角にある慰霊碑には、殉職者全員の名前が刻まれている。

放流の様子

放流の様子
黒部ダムの見どころの一つが「観光放水」。毎年6月下旬から10月中旬に行われる(天候によって中止される場合もある)。毎秒10トン以上の水が放水される圧巻の様子は、ダムえん堤や放水観覧ステージなどで、それぞれ異なる角度から見ることができる。

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